「採用パートナー企業との共創をテーマに発信をしたい」
というウイングアーク1st株式会社の南氏の一言をきっかけに生まれた本企画。
今回は、人材獲得部門で採用を牽引するウイングアーク1st株式会社の南氏にインタビューを行い、採用パートナー企業との成功に向けた重要なマインドセットや行動のポイントについてお話を伺いました。
新卒採用に携わる皆様は、ぜひご一読ください。
※新卒採用に従事する採用担当者の想いや取り組みに迫る連載「新卒採用担当のオモテとウラ」第3弾としてお届けします
(取材執筆:戸田)
ウイングアーク1st株式会社 南 賢将 氏
Talent Attraction & Acquisition部 チームリーダー
名古屋大学卒業後、大手鉄鋼メーカー入社。新卒採用担当を経験し、採用領域を極めたいと2020年にウイングアーク1st株式会社にジョイン。新卒採用責任者を担当の後、現在は採用ブランディングと人材獲得の両ミッションを担うTalent Attraction & Acquisition部のチームリーダーとして、採用全体を統括。一児の新米パパとして子育てにも奮闘中。
目次
マインドセットのポイント
共に成果を最大化するビジネスパートナーとしての関係性を築く
ーー今回は「採用パートナー企業との共創」についてお話を伺います。まずは、南さんが大切にしているマインドセットについてお聞かせください。
私が大切にしていることは、3つあります。まず1つ目は「ビジネスパートナーとしての関係性を築き、共に成果を最大化すること」です。
発注者(ユーザー)と支援者(採用パートナー)という立場はもちろんありますが、目標達成のための「チーム」であると認識し、快く協力していただける関係性を育むことを心がけています。そうはいっても、ただ「協力してください!一緒に頑張ってください!(心の声:お金払ってるじゃないですか!)」では絶対だめです。
支援者側のモチベーションや心情への配慮がない人事に、誰が協力したいでしょうか。求められたことへのクイックな対応、あいさつや丁寧な言葉遣い、定例の際には日頃の支援への感謝を伝える、困っていることがあるなら伝え、必要な情報は出し惜しみしない。こうした当たり前のことを日々実践することを、私は何よりも重視しています。当然ながら、ビジネスは人と人との関係性だからです。
また、それだけではなく、支援者がもつ目標にも貢献できるように意識しています。
例えば、LabBaseさんの営業やカスタマーサクセス担当者は、会社としての目標や、担当者個人がその会社の中で期待されている成果を持っていますよね。
そのため、私たちがLabBaseさんのサービスを利用して成果を出すことはもちろん、「クライアントとの良い成功事例を作ることができた」であったり「ウイングアーク1stと関わったことによって営業として成長できた」など、支援者側にもメリットを提供できるように意識しています。
「支援していただく採用パートナー企業さんから、いかに能動的な貢献を引き出すか」ということは、世にいう「ベンダーコントロール」などという無機質な、かつ偉そうな言葉で表現できるものではなく、いうなれば「味方づくり」なのかなと思っています。その本質は、「組織」の定義にあると、私は考えています。
組織論の権威チェスター・バーナードによれば、組織は「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通の目標」の3つから成立するもので、どれか一つが欠けても機能不全になると定義しています。
採用パートナー企業も含め、自社の採用成果の最大化を目指す「組織」だと考えれば、自ずと3つの要件を満たすために、採用担当としてどう立ち居ふるまうべきかは見えてくるのではないでしょうか。
「支援しがいのある会社」「支援したい会社」であり続ける
2つ目の重要なポイントは、「支援しがいのある会社」や「支援したい会社」であり続けることです。そのために、積極的にGiveし、必要なときは頼ることを大切にしています。
私自身、どの採用パートナーさんにも自社の課題や困りごとなどを、包み隠さず話すようにしています。また、困っているからこそお願いをしているので、頼る時は頼るという健全な関係性が大切だと思っています。ただしそれは、1点目で述べた「パートナーとしての良好な関係性」が前提にあっての話なので、まずはその関係構築が何よりも大事です。
ウイングアーク1stと関わること自体が、あるいはその採用担当である私と仕事で関わること自体が、採用パートナーさんにとってメリットを感じてもらえるなら、それはとても良いパートナーシップの形ですよね。
繰り返しになりますが、採用パートナー企業の立場になると、彼らは何社もの顧客を抱えており、それぞれにサポートしていかなければならない状況にある。そのような状況を考えると、採用担当者として、何らかのメリットがある関係性を築くことが重要だと思います。
新たな提案を受け入れる懐の広さをもつ
3つ目は、新たな提案を受け入れる懐の広さをもつことです。まさにLabBaseさんにはありがたいことに本当に優秀な担当の方をつけていただくことが多いのですが、そういう背景もあり、一緒に新しいことに挑戦したいという提案をよくいただきます。それに対して積極的にディスカッションをし、基本的には可能な範囲で何らかの形で前向きに進めることが大事だと思っているんです。
「予算がないので」「そういう方向じゃないので」といった回答をするのは簡単ですが、自社のために提案をしてくださったことに対しては、実現可能性や効果をできる限り一緒に考えて、目標に対して合理的であるなら積極的に取り入れていくように心がけています。
予算がないなら、時には、上司を巻き込んで経営に提案し、追加で予算を取りつけるぐらいのことは私は結構やります。
組織目標達成のために有効な手段を考えて、そのために追加で必要なリソースがあるならば調達してくる手段を考えることも含めて仕事だと思っていますし、そういったプロセスは個人的に楽しいと感じます。
ーーありがとうございます。ちなみに、なぜこのような考えに至ったのでしょうか。
採用チーム単独の力だけで優秀人材を採用することは難しく、社内外のリソースを、いかにリクルーティングパワーに変えられるかが、採用成果の最大化にとって重要だと考えているからです。
そもそも前提として私自身「いい仕事をしたい、その過程で成長したい、経営から預かった予算を最大限効率的に執行し成果を最大化したい」という思いが、人一倍強いのかもしれません。
しかしながら、誰もが知っている超人気企業、というわけでは現状ないため、現在は自社の力だけで優秀な人材を採用することは難しい。
そのため、予算や社内人脈など内部のリソースだけでなく、採用パートナーさんのリソースをフルに活かさせていただいて、採用というプロジェクトを回していきたいと考えています。
行動のポイント
ーー続いて、採用担当としての行動で気をつけていることについて教えて下さい。
サービス選定に徹底的にこだわる。そのために、事前に採用課題を明確にする
色々ありますが、特にサービス選定には、徹底的にこだわり、妥協せずにロジカルに選ぶように意識しています。
そのための前提として、自社の採用課題について徹底的に分析して考え抜き、自分たちに何が足りないか明確に認識することは最低限やるべきだと思っています。
例えば、営業担当から「何が課題なんですか?」と問われた時に、採用担当が明確に回答し、ロジカルに説明できることができるかどうかは、前提かなと思います。
※サービス選定については第2弾記事「新卒採用におけるダイレクトリクルーティングの選び方。」もぜひご覧ください。
採用パートナー/サービスが大事にしている思想を尊重する
採用パートナー/サービスが便利だからといって自己中な接し方や使い方をしない、すべきでないと考えています。
サービスには、必ずそのサービスが生み出された背景や、そのサービスの思想というものがあります。それらがいうなればサービスの本質なのかなと考えていて、サービスの本質を無視した使い方をすると、まず間違いなくうまくいかないです。
例えば、「スカウトとDMをはき違える」などはその代表的な例ですね。
ーー確かにサービスの思想に基づいた使い方をする、という観点は非常に大事ですよね。
その通りです。ユーザーが外れた使い方をしてしまうと、そもそも想定した成果が出にくいです。そして、一部のダイレクトリクルーティングがDMプラットフォーム化してきつつあるように、マーケットが荒れてしまう可能性があります。だからこそ、サービスの思想や本質に沿った使い方をしていくことが大切です。
選択したサービスが課題を解決する最適なものであるかどうかを、発注者の立場として採用担当が徹底的に突き詰めて考える必要があります。
世の中には実に様々なHR支援サービスが存在します。同じサービスを利用しても成果が出る企業とそうでない企業があるならば、それは課題に対して適切なサービス選定ができているかどうかと、サービスをうまく活用できているか、つまり徹頭徹尾、発注者・利用者であるユーザー企業側に課題があると思っていますね。
採用パートナーを介して出会う学生との候補者体験の質にこだわり、改善を継続する
学生にとって良い候補者体験(CX)を提供することが重要です。具体的には、HRサービスを通じて出会った学生さんとの面接や面談に臨む際に、不快な思いをさせないように、ということは徹底しています。
学生さんの生の声に接して話を聞いてみると、残念ながら、これができていない企業がとても多いようです。明らかにテンプレート文面のみのスカウトを送りつけたり、カジュアル面談だと言って呼んでおきながら頼んでもない会社説明を一方的にされたり、連絡が遅かったり、日程調整が煩雑だったりなど、様々な「企業側の不誠実」が残念ながらまだまだあるようです。
私が残念に思うのは、こういった候補者体験は、企業側の努力のみでいくらでも改善できるのに、なぜそれをしないのか、という点です。
ゆめゆめ気を付けなければいけないのは、こういった「不誠実な候補者体験」を実装していると、学生が自社に対してネガティブなイメージを抱くだけでなく、その学生との出会いを生んでくれたサービスに対しても、そのユーザーである学生はネガティブな印象を持つ可能性がある。それは発注者(企業)としてやってはいけないことです。
採用パートナーが価値を提供したい人々について調べ、彼らにとって良い体験とは何かについての持論を持つ
採用パートナーさんが価値を届けたい人たち、例えばエンジニア、新卒の学生、特定領域の専門職種の求職者さんたちなどについてよく調べ、「彼らにとって良い体験とは何か」ということについて持論を持ち、自社の取り組みについても紹介することが重要だと思っています。
例えば、LabBase就職さんの場合、理系の専門人材に対して価値を提供したいと考えているため、ユーザー側もそのような学生さんが何を重視し、何を求めているのかについて理解しておく必要があります。
また、採用パートナーさんはユーザーの使い方や取り組みを知りたいはずです。ユーザーからのフィードバックは、今後の改善につながることがあるため、ユーザーは採用パートナーさんへ取り組みを積極的に紹介すべきだと思います。
ーー最後に、採用パートナーとより良い共創をしたいと思う採用担当の方へメッセージをお願いします。
サービスの本質を正しく理解し、採用パートナーさんとの強いパートナーシップを築き、共に価値を創出することが、採用成果の大きさを決める重要な要素です。
今日の内容が、少しでも参考になれば幸いです。私自身も、今日お話ししたことを自分たちでも常に意識しながら、自社と未来の候補者様とのより良い出会いを創出できるように邁進していきたいです。貴重な機会をありがとうございました。
ーー南さん、貴重なお話ありがとうございました。
ウイングアーク1stの仕事に興味がある理系学生はこちらから
【関連する特集】
新卒採用担当のオモテとウラ
・第1弾:これからの新卒採用で必要なのは”旧パラダイム”思考からの脱却。ウイングアーク1stがダイレクトリクルーティングに取り組む理由【前編】
・第2弾:【テンプレート付き】新卒採用におけるダイレクトリクルーティングの選び方。ウイングアーク1st南氏が語る、比較すべき「10項目」とは?