エンジニアを惹きつけるスカウト文面の作り方を徹底解説  〜実際のスカウト文をライブ添削します!~

公開日: 更新日: イベントレポート

昨今の求人広告のスカウト機能の拡充やダイレクトリクルーティングの普及により、採用活動においてスカウト送信は欠かせないものとなりつつあります。そして多くの採用担当者様が『より応募率を上げられる文面』を模索しながら、日々スカウトを送っています。

そこで今回は、新卒理系に特化したダイレクトリクルーティングサービスを運営する株式会社LabBaseと、日本のキャリアSNS「YOUTRUST」を運営する株式会社YOUTRUSTでセミナーを共同開催。今回のセミナーでは、優先度が高くなくテンプレ化しがちな「会社紹介文」をクローズアップしました。

事前に募集したスカウト文面をライブ添削しながら、「候補者の心を掴む会社紹介文のポイント」「会社の魅力を最大限訴求するコツ」をお伝えしたセミナーのレポートをお届けします。

登壇者紹介


株式会社LabBase
プラットフォーム開発本部 プロダクトマネージャー
高橋 あや 氏

新卒で株式会社LabBaseへ入社。カスタマーサクセス部にて、導入支援チームの立ち上げと実働を担当。3年間で、約250社のご利用企業様へのLabBase就職導入・活用支援へ従事。顧客満足度調査・支援プログラム改善・支援コンテンツ拡充などを推進。2022年の3月よりプロダクトマネージャーを担当している。

株式会社YOUTRUST
キャリア事業部 ディベロップメントグループ PMM
吉野 樹

横浜国立大学経営学部卒業後、2020年株式会社YOUTRUSTに入社。2019年2月から学生インターンとして参画していた同社ビジネスチームにてカスタマーサクセスの立ち上げから従事。2022年4月からCSチームリーダーを務めたのち、2023年1月よりディベロップメントグループに異動し、現在はPMMとして企画、マーケティングを担当。

株式会社LabBase
LabBase就職事業本部 toBマーケティングセクション
戸田 光

法政大学人間環境学部を卒業後、新卒でNTTデータグループへ入社。金融機関向けITソリューション営業を担当する。2020年8月に株式会社LabBaseへ転職し、インサイドセールスの立ち上げに従事。その後、チームリーダーを経て、現在はマーケティング担当としてコンテンツやセミナー企画の責任者を務める。

とにかく解像度を上げる。具体化と訴求内容の絞り込みが重要。

本セミナーでは、スカウトにおける会社紹介文に着目して添削を行いました。スカウトを送る際、その人にスカウトを送る理由は多くの方が重要視し、綿密なカスタマイズを行っています。

一方、会社紹介文は一度作ってしまうとテンプレ化しがちです。しかし、そんな会社紹介文を見直すことで、スカウト返信率が改善した企業様はこれまでも多くいらっしゃいました。

そこで、できるだけ多くの方にこのノウハウを紹介することで企業様の採用のお力添えができればと考えて実施したのが本セミナーです。まずセミナー冒頭は、新卒・中途それぞれに対する会社紹介文を改善するためのポイントをお伝えしました。

働いた経験のない学生に対しては、わかりやすさと詳しさ。中途採用では、得られる経験や事業について訴求ポイントを絞って伝えることが大事です。

また、会社説明文の中で自社の魅力を伝える際は事業フェーズや組織カルチャー、開発環境などを軸に考え、訴求する文面を変えていくのがおすすめです。例えば、カルチャーに自信があるスタートアップであれば、ビジョンを押し出す文章にすると伝わりやすくなります。

こうしたポイントを踏まえつつ、メインのスカウト添削パートへ。今回は4社のスカウト文を実際に添削し、良い点・伸びしろポイント・添削内容の3点を解説しました。

4社の添削で共通して出てきたポイントは、仕事内容や働く環境、得られる経験などの具体性を高めることです。

【実際に添削された一文】

Before:「ほぼすべてが直接案件×大手企業と取引多数」

After:「大手コンサルティングファームが実施しているような課題抽出・サービス設計からプロジェクトに参画できるため、キャリア・経験値アップができます。」

このようにかなり具体化されました。候補者の意向を高める意味でも、不安を取り除く意味でも、より具体的に伝えていくことは大切なことだと改めて感じました。

とはいえ、文面を切り取っただけでは前後の文脈がわかりづらいですよね。ここからは、実際に添削された4社のうち「Chatwork株式会社」と「株式会社ハイブリッドテクノロジーズ」を添削内容を詳しくご紹介します。

スカウト文のライブ添削

【Chatwork株式会社のスカウト添削】取り組むプロジェクト・一緒に働く人・キャリアパスを具体化


▲黄色いマーカーが良いポイント・青いマーカーが伸びしろポイント

【良いポイント】

  • ・記号(【】◆)が使われていてパッと見て文章が読みやすい
  • ・ミッションや事業内容・仕事内容がわかりやすい
  • ・具体的な働き方が書かれている
  • ・会社の独自性が表れている

高橋あや氏(以下:高橋) ――まず読んで抱いた感想は「読みやすい」ということでした。小見出しや記号、箇条書きが読みやすさを作っているのだと思います。ひと目で文章の構成がわかることは、最後まで読んでいただくために重要なポイントです。

また、どんな世界観を目指し、どんな事業を展開しているのかもしっかり伝わる文章だと思います。仕事内容も、誰とどのような仕事を進めるかだけでなく「将来的に任せたい仕事」まで記載されていて非常にわかりやすいです。働き方も同じですね。候補者さん視点でわかりやすく、柔軟に働けるという魅力も訴求できていると感じました。

最後にはChatWork様が掲げているミッションに基づいた独自性の制度も紹介されていて、ワクワク感の強いスカウトですね。

【伸びしろポイント】

  • ・どんな人とどんな風に働くのかをイメージしづらい
  • ・キャリアパスがわからない

高橋 ――一方で、どんなプロジェクトに入りどの程度裁量を持てるのか、実際に一緒に働くのはどんな価値観を持つ人かも、候補者の方は知りたいのではないかと感じました。

また、新卒の学生さんは、可能性の幅が広い選択肢を選びたいと思っていることが多いです。そのためキャリアパスにも様々な選択肢があることを伝えると魅力的に感じていただけやすいです。

【添削・編集した箇所】


▲ピンクのマーカー部分が編集・追記した文面

【プロジェクト事例を追加】 

AWS、Google Cloudを利用したサーバレスアーキテクチャ・クラウドサーバーによるシステムの保守・運用 ・ビッグデータを活用するための分析システムの様々な開発、Lookerの保守・運用 

【開発運用保守のメンバーを追加】 

門田 矩明 2012年サイバーエージェント中途入社。メディア系サービス立ち上げにエンジニアとして関わった後、広告系SaaSサービスの責任者として、開発組織の改善やサービス提供体制の整備などの組織作りに取り組む。2020年にChatwork株式会社に入社。急拡大する事業を支える開発組織の強化施策や、エンジニア採用強化に奔走中。(https://note.com/xxxxx/123456789) 

【キャリアパスを追加】

当社はスペシャリスト・マネージャー両方のキャリアの方向性を評価しています。入社後はまず開発運用保守の現場で経験を積んでいただき、そのままスペシャリストとして開発運用保守を極めていく道もあれば、チームを持ってマネジメントする道もあります。当社は様々なキャリアパスを準備しております。 

高橋 ――具体的にどんなプロジェクトでどんな裁量を持って働けるのかを示すために、プロジェクト事例を追加しました。携わるプロジェクトを公開できる範囲内で提示していただくと、より自社で働く面白さが伝わるかと思います。

メンバーに関しても1〜2名で問題ないので、どんな経験をしてきて現在の業務を行っているのかなどキャリアの変遷がわかる社員さんの声があると、より職場環境が鮮明になると思い記載しております。また対象が学生さんであれば親近感を高めるため、SNSも掲載するのがおすすめです。

キャリアパスについては具体的に示しづらい部分もあるかと思いますが、どんな可能性があるかだけでも記載いただけると、働くイメージを持っていただきやすいと考え追加しました。

【株式会社ハイブリッドテクノロジーズの添削】URL添付・募集ポジションや自社の魅力の解像度UP


▲黄色いマーカーが良いポイント・青いマーカーが伸びしろポイント

【良いポイント】

  • ・どんな経験が得られるのかが明記されている
  • ・事業フェーズを伝えられている

吉野 ――具体的に得られる経験が記載されていて、とても良いスカウト文だと感じました。転職される方は直近の業務だけではなく、数年後にどんなキャリアパスを描けるのかも重要視しています。どんな経験が得られるのかを記載することは、こうした中長期のキャリアの検討材料になりますね。

もう一点良いと感じたのは事業フェーズが書かれていることです。事業フェーズは、一言で会社の面白さを伝えるのに非常に有効です。ハイブリッドテクノロジーズ様は、さらに事業拡大を目指していくフェーズという点と、だからこそ業務経験やスキル以上に「これから一緒に事業を作っていく」姿勢をお持ちの方に入社いただきたいことを書かれていて、候補者の方にも響きそうだなと感じました。

【伸びしろポイント】

  • ・プロジェクトマネージャーの役割や業務内容を書けるとより良い
  • ・どうしても伝えたいことは情報のURLを添付する

吉野 ――伸びしろとしては、具体的に何をするのかを記載いただくとさらに良くなるかと思います。現在の書き方では、どんなグループを管轄し、実際にプロジェクトマネージャーが何をするのかがわかりづらくなっていると感じたからです。

プロジェクトマネージャーは会社によって役割が大きく変わってくることも多いので、どんな役割を担って何をしているのかを書いていただけると、より候補者の方にイメージを持っていただけるのではないでしょうか。

もう一点は、文中で伝えることができない情報のURLを記載することです。いただいた文章内に「情報量としてスカウトだけでは足りない」との記述がありました。それであれば別の場所(Notionや記事)に整理し、そのURLを共有することで伝えきれない情報が伝えられます。

この二つを改善することで、さらに良いスカウト文になるかと思います。

【添削・編集した箇所】


▲ピンクのマーカー部分が追記した文面

【なぜスカウトを送ったのかを説明する文章のあとに会社説明が追加】

ハイブリッドテクノロジーズは日本・ベトナム両国が有するリソースを用いて、最適なデジタルソリューションを提供するオフショアカンパニーです。

【ポジションを紹介する部分を編集】

Before:今回お声がけをさせて頂いたポジションは、私が管掌しておりますビジネスコンサルティング部にて、お客様のビジネスを成功させるために、グローバル開発チームをリードするプロジェクトマネージャーのポジションです。

After: 今回お声がけをさせて頂いたポジションは、私が管掌しておりますビジネスコンサルティング部にて、お客様のビジネスを成功させるために、グローバル開発チームをリードするプロジェクトマネージャーのポジションです。 具体的には、開発業務だけではなく、システム開発に必要な要件定義、仕様設計などのコンサルテーション、UI/UXなどの上流工程から、各種開発、運用・保守まで、一気通貫体制で支援していただきます。大手コンサルティングファームが実施しているような課題抽出・サービス設計からプロジェクトに参画できるため、キャリア・経験値アップができます。(いわゆるプロダクトマネージャーのようなご経験が得られます) 

【お誘い直前の文言にURLへ促す文章を編集】

Before:スカウトメールと求人情報だけでは中々イメージが湧きづらい部分もあるかと存じます。

After:スカウトメールと求人情報だけでは中々イメージが湧きづらい部分もあるかと存じます。 弊社についてまとまっているページはこちらにございますので、もしご興味お持ちいただけましたらご一読いただけますと幸いです。 URL:—

吉野 ――ハイブリッドテクノロジーズ様についての説明がなかったので、まずそこを追加しました。続いてポジション紹介の部分です。具体的に何をするのかを追記しました。「プロダクトマネージャーのような経験を得られる」と括弧書きで補足することで、期待値を高めているのもポイントです。

後半部分には、「イメージが湧きづらい部分もあるかと思います」との文面がありましたので、URL添付を追加して情報を補えるようにしています。

また、ハイブリッドテクノロジーズ様は、もう一通スカウトをお送りいただいているので、そちらも簡単にご紹介します。

吉野 ――カジュアル面談する人が誰なのかとその方の紹介記事の記載は、候補者の方の大きな安心材料になりそうとの印象を受けたので、とても良いと思いました。

一方で、特徴および魅力として挙げている3点は、送信相手に合わせて1つもしくは2つに絞っていただいた方がよいかと思います。特徴や魅力は、数多く伝えるよりも具体的に掘り下げてしっかりと書いた方が、その会社らしさが伝わるからです。

吉野 ――例えば1つ目の開発環境では、開発の初期設計としてハイブリッド開発手法をとられている点や企画設計からグロースまで担当するのでプロジェクトマネジメントも経験できることを書いていただくとよいと思います。また、ハイブリッドテクノロジーズ様はテックブログが充実しておりますので、このリンクをぜひ記載していただきたいですね。

2つ目のフォロー体制について。距離感を作らずオープンな会話を心がけていることを記載の上、可能であれば付随する制度や具体的な説明を追加していただくとさらによくなります。また「その体制があるからこそ、こんな人を求めています」と併せてお伝えいただけるとより良いですね。

3つ目は得られる経験ですね。自社で何ができて、どんなプロジェクトに携わるのかをできる限り伝えていただくことは非常に重要です。ハイブリッドテクノロジーズ様のブログにはプロジェクトの事例もまとまっていたので、この事例のリンクを送っていただくことをおすすめします。このようにスカウトに添付するURLも、時と場合によって変えていきましょう。

【Q&A】非エンジニアがスカウトする際のコツ・スカウト文の注意点など

本セミナーでは、皆さまから多数のご質問をいただきました。冒頭のタイミングですでに4件のご質問があり、みなさまスカウトに多くの悩みを抱えられているのが見て取れました。ここでは一部抜粋して紹介します。

ーーQ1:非エンジニアがスカウトを送る際、GitHubを見れるレベルでなくても、返信率を上げるコツがあれば教えてください。

吉野 ――私も非エンジニアで後から時間をかけてGitHubを見れるようになったのですが、GitHubの代わりにブログ形式で読みやすいQiitaとZennをたくさん見ていた時もありました。なぜGitHubが見られないのかにより対処法が変わってくるので、何が課題なのかをご自身で分析していただくのがよいと思います。

また、発信を行っている方はその内容を見てほしいはずなので、SNSなどの内容には必ず触れていただくことをおすすめします。私はエンジニア向けのスカウトの文章を作る際、Twitterを3ヶ月分遡っていたこともありました。そこから候補者の方が何に興味を持っていて、どんなコミュニケーションを好むのかを読み取ってスカウトに活かすと良いと思います。

ーーQ2:スカウト文面に書かない方がいいことはありますか?

高橋 ――基本的にありませんが、 特別感があまり感じられないお誘いは避けた方がいいと思います。1to1のスカウトの場合は、なぜその人をスカウトしたのかが伝わり「自分だから送られている」と思われる文面にすることが大切だからです。例えば、マイページへの登録やスカウトされていない方も参加できる説明会への参加を促すといったものは避けましょう。

もう一点注意が必要なのが、抽象的な言葉では魅力が伝わらない場合があることです。

たとえば裁量権。企業によって裁量の考え方は違いますし、具体的にどんなプロジェクトにどう関われるのかという具体的な情報がないと伝わりづらいです。他の企業と比較したときに同じような会社だと思われる危険性もあるので、抽象的な言葉にはできるだけ根拠も一緒に示すとよい文面になります。

吉野 ――URLの貼りすぎにも注意が必要ですね。1つのスカウトにURLが1〜2個であれば開かれる可能性は高いです。しかし、5〜6個のURLがまとめて最後に付いていると、開かれる可能性は低くなってしまいます。

本当に読んでほしいものが読まれないことを防ぐためにも、伝えることを絞っていくのがよいかと思います。実際にYOUTRUSTをご活用いただいている企業様にも「URLは多くても3つまで」とご案内しています。

まとめ

今回のセミナーでは、「会社紹介文」を中心にスカウト文の添削を行いました。4社共通しての伸び代だった「より具体的な内容を盛り込むこと」のほか、「スカウトで掲載しきれないことはその情報が書かれたURLを貼ることで補足する」「SNSをチェックしてその内容に触れる」など今日から使えるノウハウをお伝えしました。

スカウト文は正解がないものです。そんななかで試行錯誤される採用担当者様の助けになるようなセミナーとなっていれば幸いです。

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