
「ダイレクトリクルーティングを導入したが、スカウトメールの返信率が上がらない」 「理系の優秀な学生にアプローチしたいが、どのような文面が響くのかわからない」
新卒採用、特に専門性の高い理系人材の獲得において、このようなお悩みをお持ちの人事担当者様は多いのではないでしょうか。
売り手市場が続く中、学生を待つだけの採用手法では限界があります。そこで重要となるのが、企業側から積極的にアプローチする「スカウトメール」です。しかし、ただ送るだけでは学生の心には響きません。
本記事では、学生の反応率を高めるスカウト文の書き方を、良い例文・悪い例文を交えて徹底解説します。
またスカウト文面に限らず、スカウトを送る前後での重要ポイントも紹介しますのでぜひご覧ください。
目次
新卒採用におけるスカウトメールとは
スカウトメールの最大の目的は、単に「応募してもらうこと」ではありません。
「自社を知らない、あるいは興味が薄い学生に対して、興味喚起を行い接点を持つこと」です。
特に理系学生やトップ層の学生は、研究で忙しく自分から企業を探す時間が限られています。そのため、企業側から「あなたに興味がある」と伝える”攻め”のアプローチが非常に有効です。
スカウトメールの種類:「一斉送信型」と「個別送付型」
スカウトには大きく分けて2つの手法があります。
- 一斉送信型:ターゲット条件に合致する学生に定型文を一斉に送る
- メリット:工数が少ない。認知拡大に使える
- デメリット:自分事として捉えられにくく、開封率・返信率は低い
- 個別送付型:学生のプロフィールや研究内容を読み込み、個別に文面を作成する
- メリット:「特別感」が伝わり、返信率が高い
- デメリット:作成に時間がかかる
目的に応じて使い分けるのが前提となりますが、新卒採用、特に理系採用で優秀な人材を狙う場合は、「個別送付型」で質の高いアプローチを行うことが効果的です。
スカウトで押さえるべき「5つのポイント」
効果的なスカウトを送るためには、文章力や構成といったテクニックだけでなく、文面を書く前の準備も重要です。
スカウトを送るまでの一連の流れを踏まえた、重要ポイント5つが下記です。

- ①誰が:人事が送るのか、現場エンジニアや研究職が送るのか
- ②選ぶ:自社が求める要件定義と、ターゲット学生の選定
- ③送る:学生に響く文面作成(本記事のメインテーマ)
- ④会う:スカウト後の受け皿(面談、説明会など)
- ⑤いつ:学生の就職活動や研究スケジュールの把握
まずは本記事のメインテーマである「③送る:学生に響く文面作成」について解説し、その後他の4つの要素について紹介します。
学生に響くスカウト文面作成の3つのポイント
多くの企業からオファーを受け取っている理系学生は、メールを「件名」と「冒頭」で判断します。そういった学生に興味を持ってもらい、スカウトメールの開封や承諾をしてもらうためには、以下の3点を意識するのが重要です。
承諾メリット
「このスカウトを受けると、自分にどんないいことがあるのか」を提示します。
例:技術トップの社員と話せる、書類選考免除、キャリア相談ができる
特別感
「なぜ、数ある学生の中で『私』に送ったのか」が伝わる内容にします。
理系学生の場合、「研究内容への言及」や「スキルの評価」が効果的な特別感の演出になります。
読みやすさ
忙しい研究生活の中で情報が簡潔にわかりやすくまとまっていることは読んでもらうことの大前提になり、また細やかな気遣いとわかりやすくするための工夫から、信頼感にもつながります。
長文の塊は読まれにくいため、適度な改行、見出し、箇条書きを使い、一目で内容が入ってくる構成を心がけましょう。
【良い例文】基本構成とそれぞれのポイント
ここでは、理系新卒学生に送る場合を想定した、反応率の高いスカウトメールの構成例を紹介します。
タイトル:【特別招待&面談確約!】世界トップのテクノロジーの開発に挑戦するチームの特別選考に参加しませんか?
本文:
Aさん
はじめまして、株式会社〇〇 技術開発本部 開発統括部の佐藤と申します。
私が所属する統括部ではIoTデバイスの企画、開発、設計、検証、量産対応などしており、私自身、次世代通信モジュールの論理仕様・セキュリティ仕様の策定をしています。
Aさんの研究内容を拝見し、私たちのチームが求めるものにピッタリだと思いました。
現在、我々の部署でも産業用ロボット向けのAI処理モジュールを開発しています。Aさんの研究内容である「エッジデバイス上での軽量化アルゴリズム」と、我々が扱うハイエンドプロセッサとの違いはありますが、「回路の低消費電力化」や「省面積化」に対するアプローチは非常に重要な技術であり、我々の開発の方向性と一致しており研究や専門性を活かせると考えています。
加えて、留学経験による英語力やVerilogの知識などをお持ちであるため、我々のグローバルな開発現場でこれらを活かして仕事ができるのではないかと思います。
今回は、LabBase就職に登録されている方限定の特別選考のご案内になります。
まずはカジュアル面談でお互いの研究の内容や業務内容のお話をさせていただいた上で、 選考に参加したいと思っていただけそうなのであれば、応募いただく流れを考えています。
最後になりましたが、より弊社の技術について知っていただきたく、Aさんに読んでもらいたい記事を厳選させていただきましたので、ぜひご一読ください。
<Aさんに読んでもらいたい記事>
・CTOが語る、10年後の技術戦略(URL)
・新卒1年目が開発した新機能の裏側(URL)
少しでもご興味を持っていただけましたら、お気軽にご返信ください。 お会いできることを楽しみにしています!
各ポイントを解説
上記の例のスカウト文面は主に5つの項目で構成しており、「承諾メリット」「特別感」「読みやすさ」を意識して作成しています。
- ①タイトル:「特別招待」「面談確約」などのパワーワードを入れ、開封するメリットを一目で伝えます。
- ②自己紹介:現場の技術者が送ることで、「技術の話ができそう」という期待感を醸成します。
- ③会いたい理由(最重要):具体的なキーワード(「低消費電力化」「Verilog」など)を出し、「あなたのプロフィールをちゃんと読みました」ということを伝えられるようにします。研究内容と業務の接点を示すことで、キャリアイメージを想起させることにつながります。
- ④コンテンツ紹介:いきなり「面接」ではなく「カジュアル面談」にすることで、心理的ハードルを下げます。
- ⑤PR・参考資料:URLを貼るだけでなく、「あなたに読んでほしい」と添えることでクリック率を高めます。
- ⑥締めの挨拶:返信を強要せず、フラットな姿勢を示します。
【悪い例文】避けるべきパターン
逆に、以下のようなスカウトメールは「テンプレ」と判断され、開封されなかったり、読まれても流される可能性が高くなります。
件名:特別選考のご案内Nさん、こんにちは。 A社の採用、Mと申します。
Nさんの自己紹介を拝見し、弊社でご活躍いただけるのではないかと思い、お声掛けしました。
<A社の事業について> 弊社は〇〇を展開する、国内最大規模の総合メーカーです。 デジタルトランスフォーメーションに特に力を入れており、AI技術、クラウドなど、世界をリードする最先端の技術を扱う仕事をしていただけます。特に我々のシェアは国内No.1で、安定した実績を残してきました。
プロジェクト例 基幹システム開発/アプリ開発/インフラ構築/データ分析/セキュリティ診断/IoTプラットフォーム/…
詳細:https://〜〜〜〜説明会は◎/◎、◎/◎、◎/◎に14:00から開催します。
ご参加を希望なさる場合は、こちらのメッセージに、Nさんのご都合の良い日程を返信していただけますと幸いです。弊社のwebページ:https://〜〜〜〜
Nさんからのご応募お待ちしています。
改善ポイントを解説
前述したスカウト文面作成の3つのポイントに改善すべきポイントがあります。
- 承諾メリットがない:「説明会に来て」という企業都合の要求のみで、学生がメリットを感じにくい
- 特別感がない:「自己紹介を拝見し」とあるが、Nさんのどこが良かったのか具体的記述がない。誰にでも送れる内容になってしまっている。
- 読みやすさが低い:会社のアピールのような説明が長く、説明会の時間なども改行がなく、読みにくい文面になってしまっている
選ぶ:採用要件にマッチする学生を見つける
良い文面を書くためには、送る相手を明確にすることが重要です。
具体的には採用要件を明確にし、要件とマッチする学生に絞り込み、選定して送ることが反応率をアップさせることにつながります。
理系採用であれば、学生の専攻はもちろんのこと、「機械学習」「有機合成」「回路設計」など、技術要素や研究キーワードでターゲットを絞り込めると理想です。
この絞り込みの粒度は、利用されている採用サービスによっても異なるため、適切な条件を探せると良いでしょう。
ターゲットが具体的であるほど、「会いたい理由」が書きやすくなります。
誰が:人事と現場でスカウト送信までを役割分担
特に理系学生の場合、人事担当者からのメールよりも、自分の研究分野に近い「現場エンジニア」や「研究員」からのスカウトを好む傾向にあります。
「技術の話が通じる」「研究の苦労を分かってくれる」「具体的な業務内容を知れる」という安心感やメリットがあるためです。
スカウト送付時は、現場社員に文面の監修を依頼するか、差出人を現場社員名義にするなど、役割を決められるとよいでしょう。
どちらかが全てをやるのではなく、組織体制と学生体験を考慮して適切な形を模索することがポイントです。下記のスライドも参考にして貰えればと思います。

採用における人事と現場での役割分担については下記の資料にもまとめていますので、参考にしてみてください。
>>理系採用を成功に導く人事×現場協働型「Co-Lab(コラボ)採用」
会う:スカウトの目的(受け皿)を設計する
文面の書き方と同様に、受け皿となる「オファー内容」で反応率は変わります。
理系学生、特に優秀層の意向を上げるためには、「自分の研究やスキルが活かせるか(マッチ度)」と「自分を一人の候補者として見てくれているか(特別感)」を感じられる受け皿が必要です。
「マス向け」の受け皿(反応率:低)
下記のような「誰でも参加できる」一般的な入り口は、学生が企業との親和性を感じにくく、せっかくのスカウトの特別感が薄れてしまいます。
- マイページ登録・エントリー:「まずは登録を」という定型的な案内
- 文理合同イベント:技術的な深い話が聞けない可能性が高い場
- 会社説明会:学生個人の研究内容に関心が払われない場
魅力的な受け皿(反応率:高)
一方で、以下のような「現場社員と技術の話ができる」個別や少人数の場は、学生にとってメリットが明確です。
これらを受け皿に設定することで、スカウト承諾率だけでなく、その後の選考遷移率や内定承諾率の向上も期待できます。
- 個別面談(カジュアル面談):1対1で研究内容と業務の接点を深掘りする
- 少人数座談会: 現場の技術者と密にコミュニケーションを取る
- 理系限定イベント:専門性が高い内容に特化し、学びが得られるコンテンツ
文面で興味を惹いた後は、マイページ登録などの作業へ誘導せず、「あなたと話したい」ということが一貫して伝わるオファー(面談や座談会)へ繋げることが重要です。
いつ(送付時期):就活スケジュールに合わせ適切なタイミングに送る
下記の画像は理系院生の就活スケジュールを示しています。

修士1年の春(4〜5月)から就活サービスに登録を開始し、夏のインターンや就業体験の情報収集、個別面談への参加を経て、秋以降は志望業界・企業を絞り込み、エントリーを進めるのが一般的な流れとなっています。
こういった就職活動のおおまかなスケジュールを把握することで、その時々に求められる受け皿を用意したり、文面に活かすことができます。
例えば、理系学生は、学会発表や論文執筆の時期(特に修士1年の冬〜修士2年の春など)は極めて多忙になります。 学生の状況を想像し、「今はお忙しい時期かと思いますが…」と一言添える配慮があるだけでも、印象は大きく変わります。
就活スケジュールを把握し、適切なタイミングで、適切な内容をお送りできるように準備できると良いでしょう。
まとめ:心を動かすスカウトで採用成功へ
スカウトメールは、単なる通知ではなく、学生への「ラブレター」です。
「なぜあなたなのか」を熱量を持って伝え、「会うメリット」を提示することで、必ず反応率は変わります。
自社のターゲットとなる理系学生がどこにいるのか、どのようなキーワードで検索すればよいのかお悩みの場合は、理系学生データベースに特化したLabBase就職の活用もぜひご検討ください。

