エントリーが増える「求人票」の書き方とは?“採用要件”の定義が成功のカギ【理系採用】

公開日: 更新日: 理系採用ノウハウ

「理系学生からの応募がなかなか集まらない」

「“技術系”と一括りにした募集で、選考に進んでもミスマッチが起きている」

理系採用において、こうした母集団形成やマッチングの課題を抱えている人事担当者様は少なくありません。求人票の表現を工夫しているつもりでも成果が出ない場合、その原因は文章のテクニック以前に、「採用要件の曖昧さ」「学生ニーズ(彼らが何を知りたいか)の理解不足」にあるケースが大半です。

本記事では、理系学生に選ばれるための「採用要件の作り方」から、それを落とし込んだ「具体的な求人票の書き方・改善例」までを徹底解説します。


>> 理系採用の全体像を把握したい方へ

求人票の作成は採用活動の一部にすぎません。「そもそも理系採用のスケジュールや手法の全体像を改めて確認したい」という方は、先に以下の記事も参考にしてください。

理系新卒採用の成功ポイント:就活動向・採用プロセス全体を徹底解説

応募が来ない求人票の「3つの特徴」

まず、理系学生が「応募しづらい」と感じてしまう求人票には、共通する3つの特徴があります。

職種名が広すぎて、自分の「専門性の活かし方」がわからない

「技術職」や「エンジニア」といった大きな括りだけで募集しているケースです。専門性を磨いてきた学生ほど、「機械工学の知識は活かせるのか?」「具体的にどの工程で働くのか?」を具体的に知りたがっています。

出口が曖昧な求人票は、自分の知識を活かしたい学生の目に留まりにくくなってしまいます。

「会社概要」の情報が中心で、実際の「仕事の姿」が見えにくい

歴史や売上規模といった「企業のスペック」を伝えることに偏り、学生がそこで「どんな課題に、どう挑むのか」という視点が不足しているケースです。

企業の安定性は伝わっても、自分が働く姿(事業・仕事の面白さ)がイメージできないため、興味が持続しなくなってしまいます。

求める人物像が一般的で、自分の「必要性」が感じられない

「モノづくりが好きな人」「論理的な思考ができる人」といった、理系募集でよく使われる汎用的なメッセージに終始しているケースです。

これらはどの企業でも当てはまるため、学生は「自分の持つ特定のスキルが、この会社でなぜ必要なのか」という確信を持てず、応募を見送る要因となってしまいます。

魅力的な求人票作成のポイント:採用要件の明確化

魅力的な求人票を書くために最も重要なのは、実はライティング技術ではなく、その前段階にある「採用要件定義(上流工程)」です。

いきなり求人票を書き始めるのではなく、「どの部署で、どんなスキルを持った学生に、何を任せたいのか」を言語化する必要があります。

要件定義を行うメリット

要件定義をしっかりと行うことで、以下のようなメリットが生まれます。

  • 学生に「自分事」として捉えてもらえる:「自分のための求人だ」と認識させやすくなり、エントリー率が向上します
  • スカウトの精度が上がる:要件が固まれば、求人票だけでなくスカウトメールの質も向上し、結果として全体の歩留まりが改善します
  • 人事と現場の目線が合う:現場(各職種)が求める人物像の解像度が上がり、ミスマッチが減ります

>> スカウトメールの改善もあわせて実施!

要件定義は、ダイレクトリクルーティング(スカウト)の文面作成にも大いに役立ちます。「採用要件・求人票・スカウト文」の3つが揃って初めて効果が最大化します。スカウト文面の書き方については、以下の記事も併せてご覧ください。

【例文付き】理系学生に響くスカウトメールの書き方|開封率・返信率を上げるコツ

Must / Want / NG で整理する

要件定義を行う際は、スキル面だけでなく、志向性(スタンス)も含めて Must(必須)・More/Want(歓迎)・NG(不可) で整理するフレームワークが有効です。

これにより、「絶対に譲れない条件」と「あれば嬉しい条件」が明確になり、求人票の訴求ポイントが定まります。

理系学生の採用要件定義の実践例

では、実際に要件定義を行うことで求人票の内容がどう変わるのか見ていきましょう。

ここでは「生産技術職」を例に挙げます。

Before:抽象度が高く、業務イメージが湧きにくい要件

  • 募集職種 生産技術職(総合職)
  • 業務内容
    • 次世代製品の創出、および生産性の最大化を目指した製造プロセス・設備の開発業務
    • 既存ラインの維持管理から、最新技術を導入した自動化ラインの設計・導入まで、幅広く生産現場を支えていただきます
  • 求める人物像
    • 当社の事業内容に強い関心をお持ちの方
    • 主体性を持って業務に取り組み、周囲と協力できる方
    • 理系学部・学科にて、基礎的な工学知識を習得された方
  • 対象とするスキル・経験
    • 理系学部・学科(機械・電気・電子等)において、工学の基礎知識を習得されている方
    • 実験や実習を通じて、モノづくりの基礎を学んだ経験がある方

After(改善後):具体化した採用要件

必要な要件を「必要な素養・スキル・経験」と「人物特性」に整理したものの例を以下に示します。

必要な素養・スキル・経験
・必須要件(Must)・自動車部品の製造業界に関心を持ち、関連する学問分野(機械工学、製造工学など)の知識を有すること

・CADソフトウェア(SolidWorks、AutoCADなど)の基本的な操作スキルを持つこと

・実務経験を通じて、問題解決能力やチームでの協働能力を発揮できること
・歓迎要件(Want)・自動車産業や製造業におけるインターンシップ経験を有すること

・生産性向上や品質管理のためのデータ分析やプロセス改善の経験を持つこと

・英語力(リーディングおよびライティング)があること
人物特性
・能力・論理的思考力:複雑な問題を解決する際に、論理的な分析や推論を行い、適切な解決策を導ける

・発想力:新しいアイデアやアプローチを生み出し、イノベーションを推進できる

・問題解決能力:問題や課題を明確に理解し、適切な解決策を見つけることができる
・志向性・チャレンジ精神:現状に満足せず、より良いものを目指して行動ができる

・冷静沈着さ:圧倒されることなく、冷静に状況を分析し、問題解決に取り組める
ミスマッチな学生像・協調性に欠ける人:チームでの協力やコミュニケーションが苦手で、他のメンバーとの協調が困難な人材は、チームプロジェクトの成功に支障をきたす

・責任感の不足:業務の責任を放棄し、問題や課題に対して責任を持たない姿勢を示す人材は、生産プロセスの円滑な運営を妨げる


現場で必要となるスキルや要件などを具体化・明文化することで、入社後のミスマッチを最小限に抑え、精度の高いマッチングにつながります。

before・afterのポイントを表にまとめると以下のとおりです。

比較項目BeforeAfter
スキル・知識「理系の基礎」「モノづくりへの興味」といった包括的な表現CAD(SolidWorks等)の操作、機械工学等の専門知識を特定
能力・特性「主体性」「コミュニケーション力」など定義の広い言葉「論理的思考」「問題解決」「合意形成」など実務行動で定義
志向性「やる気がある」「何でも挑戦」といった熱意重視「現状に満足しない改善意識」「冷静な分析力」など現場適性
ミスマッチ防止記載なし(または「やる気があれば歓迎」等の精神論)「協調性に欠ける」「柔軟性がない」など避けるべき人物像を明示

ここまで解像度を上げて具体化すると、「機械工学を専攻し、CADを使える学生」に対して、「あなたのスキルを活かして、将来はプロジェクトリーダーを目指せます」という強力なメッセージを求人票に込めることができます。

理系学生が「本当に知りたい」求人票の情報

要件定義ができたら、次はそれを学生が求める情報に変換して伝えます。ここで重要になるのが、「今の学生が何を重視しているか」という視点です。

27卒理系院生を対象とした最新の調査データから、求人票に盛り込むべきポイントについて紹介します。

具体的な「配属先」と「仕事内容」

調査によると、「仕事内容をイメージするために必要な情報」として、以下の回答が多く寄せられました。

  • 大まかな仕事内容(関わるプロジェクト等):67.0%
  • 具体的な配属先(部署や職種):61.6%
  • 配属される職種ベースでの仕事内容48.3%

多くの学生が「初期配属の不確実性」に対して不安を抱いています。

総合職採用であっても、可能な限り「配属予定の部署名」や「過去の配属事例」、「具体的なプロジェクト例」を明記することで、キャリアの解像度が高まり、学生の安心感と志望度は大きく向上します。

応募への決め手は「事業内容」

企業にエントリーしたいと思う理由(決め手)のトップは「事業内容に関心があるから(63.1%)」でした。

求人票では、単に会社概要を載せるだけでなく、「当社のこの事業には、あなたの〇〇という研究分野がこのように活かせます」という専門性と事業の結びつきを書くことが重要です。

理系学生が思わずクリックする「求人票」の具体例

ここでは、実際に「生産技術職」を募集する場合を例に、理系学生に響きにくい「改善の余地がある求人票の例」と、ターゲット学生に刺さる「最適化された例」を比較してみましょう。

改善の余地がある例:誰にでも当てはまる「抽象度の高い」求人票

多くの企業でやってしまいがちなのが、職種名や業務内容を広く書きすぎてしまうケースです。


募集タイトル:【27卒】技術職募集(メーカー)

業務内容

当社製造拠点における生産ラインの最適化、および次世代製品の創出に向けた生産プロセスの開発業務全般を担当いただきます。

  • 既存設備のメンテナンスおよび効率化の検討
  • 新規設備導入における仕様策定とベンダー管理
  • 品質向上に向けた現場の改善活動の推進

メッセージ

「モノづくり」の最前線で、あなたの理系の知識を活かしませんか? 当社は幅広いフィールドを用意しており、若手から大きなプロジェクトに挑戦できる環境です。主体性を持って、周囲と協力しながら成長したい方を募集しています。

応募資格

  • 理系学部
  • ものづくりに興味がある方
  • コミュニケーション能力がある方


改善ポイント

  • タイトルが弱い:「技術職」だけでは、機電系なのか、情報系なのか、化学系なのか判別できず、学生は自分事化できません
  • 「何をするか」が見えない:「製造・開発業務」という言葉は広義すぎて、理系学生が知りたい「自分の専攻がどう活きるか」が伝わりません
  • 要件がふんわりしている:「理系学部」「ものづくりに興味」ではターゲットが広すぎ、ミスマッチの原因になります

良い例:ターゲットと活躍イメージが明確な求人

次に、採用要件を明確化した上で作成した「良い求人票」の例です。

最新の「27卒理系院生 就活動向調査レポート」の内容(学生が知りたい情報)をもとに、「配属先」「仕事内容」などを具体的に記載するといったポイントを意識して作成しています。


募集タイトル:【生産技術】自動車エンジンの製造プロセス開発|最新のCAD/CAE技術で生産ラインを革新する(機械・電気系歓迎)

【配属部署】

  • 先行研究開発センター 生産技術部(横浜勤務)
  • チーム人数:30名(うち若手社員は5名在籍)

【業務内容】
自動車用エンジン部品の製造プロセスにおける改善、効率化、品質管理に従事します。

  • 生産ラインの設計、改良、導入および効率化
  • CADソフトウェア(SolidWorks等)を使用した設備設計
  • 生産プロセスのデータ分析とボトルネックの特定・解消

【キャリアパス】

  • 短期(1〜3年):先輩社員のサポートのもと、既存ラインの改善プロジェクトに参加。データ収集・分析などの実務を通じて、生産技術の基礎を習得します。
  • 長期(5年〜):新規ライン立ち上げのプロジェクトリーダーとして、設備導入の計画から稼働までを主導。海外工場への技術指導など、グローバルに活躍するチャンスもあります。

【応募要件】

  • 必須:機械工学、制御工学などの基礎知識を有すること。
  • 歓迎:CADソフトウェア(SolidWorks, AutoCADなど)の使用経験、またはデータ分析の経験。
  • 求める人物像:既存の方法にとらわれず、新しい技術を取り入れて工程改善を楽しめる方。


Goodポイント

  • タイトルで「魅力」と「ターゲット」を明示:「自動車エンジン」「製造プロセス」「機械・電気系」といったキーワードを入れることで、ターゲット学生の目に留まります
  • 「配属先」と「具体的なタスク」を記載:学生の61.6%が求めている「具体的な配属先」と、48.3%が求めている「職種ベースでの仕事内容」を網羅しています
  • キャリアパスの可視化:「入社して何ができるのか」「将来どうなれるのか」を短期・長期で書くことで、成長環境を具体的にイメージさせます

まとめ:学生の「今」を知り、ターゲットに刺さる求人票を作ろう

効果的な求人票への改善は、単なる文章の修正ではありません。「自社が欲しい人材は誰か(要件定義)」を明確にし、「相手が求めている情報(学生動向)」に合わせて適切に届ける作業です。

一方で、要件や求人票を一度に完璧に作り直すのは大変ですので、まずは学生が特に注目している「配属先」や「仕事内容」の項目に、具体的な情報を一つ書き足すことから始めてみるのがおすすめです。

「どんな事業で(事業内容)」「どんなツールを使い(専門性の発揮)」、そして「誰と働くのか(配属先)」を少し具体的にすることで、学生が抱く不安の解消につながります。

まずは頭の片隅にこれらのポイントを置きつつ、できる範囲から情報の解像度を上げていくことが、理想の学生との出会いに繋がるはずです。

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