
【本記事のポイント】
- 情報系学生の約9割が修士1年の6月までに就活を開始。活動の早期化が顕著。
- 内定承諾の最大要因は「専門性を活かせる職種・部署」であること。給与や福利厚生を上回る結果に。
- 「ジョブ型」要素を取り入れた募集要項の具体化、研究内容への深い理解が、相互理解とマッチング精度向上の鍵
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、AIエンジニアやデータサイエンティストといった高度な専門職の需要が急増しています。
多くの企業様から「優秀な情報系学生とお会いしたいが、競争が激しく接点が持てない」「内定を出しても、なかなか承諾に至らない」といったご相談をいただく機会が増えました。
売り手市場と言われる環境下ですが、学生たちは単に「内定を取りやすい」から選んでいるわけではありません。彼らは自身のキャリアや研究してきた専門性を、社会でどう活かすかについて真剣に模索しています。
本記事では、26卒・27卒の理系大学院生を対象とした最新のアンケートデータをもとに、情報系学生の就職活動の動向と、彼らが企業選びで何を大切にしているのかを紐解きます。企業と学生の双方が納得のいくキャリア選択を実現するためのヒントとしてご活用ください。
目次
1. 情報系学生の就職活動動向:早期化するスケジュール
まず、情報系学生がいつ就職活動を始めているのか、その全体像を見てみましょう。
データによると、情報系院生の89.1%が修士1年の6月までに就職活動を開始していることがわかりました。これは昨年の同時期と比較して8.6ポイント上昇しており、他の専攻と比較しても動き出しが早い傾向にあります。
特に注目すべきは、学部生の頃や、修士1年の4月といった非常に早い段階から情報を集め始めている学生が増加している点です。

この背景には、「研究と就職活動を両立させたい」という学生ならではの事情や、サマーインターンシップが実質的な選考の入り口となっている現状があると考えられます。
企業側としては、こうした学生のスケジュール感を尊重し、早期から適切な情報提供の機会を設けることが、対話の第一歩となります。
2. 内定承諾の核心:「専門性」が活かせる環境か
では、学生たちは最終的にどのような基準で入社先を決めているのでしょうか。 アンケート結果から、情報系学生ならではの明確な傾向が見えてきました。
最も重視されるのは「専門性の発揮」
内定承諾先を決定する上で重要な要素を聞いたところ、情報系学生では「職種や部署で専門性を活かせること」が第1位(23.7%)となりました。
これは「給与や福利厚生」や「製品・サービスの魅力」といった項目よりも高く、彼らが自身の技術や知識を活かせるフィールドを強く求めていることがうかがえます。

勤務地選びも「仕事内容」とセット
また、勤務地を選択する際においても、単に「都会が良い」「地元が良い」ということ以上に、「専門性を活かせる職・企業があるかどうか」を65.9%の学生が重視しています。

「配属」への不安と「確約」へのニーズ
こうした背景から、学生たちは「入社後にどのような仕事ができるのか」という不確実性(いわゆる配属ガチャ)に対して慎重になる傾向があります。
実際、情報系学生の入社予定先企業の状況を見ると、約83%の学生が「職種」または「勤務地」、あるいはその「両方」が確約された状態で内定を得ています。

このデータは、学生が安心感を持って入社を決断するためには、選考段階から具体的な業務内容や配属先についての透明性を高めることが重要であることを示唆しています。
3. 学生の声から見る就活のリアル
ここで、実際にAIエンジニアを志望する学生(情報学専攻)へのインタビュー内容をご紹介します。
Q. 企業選びの決め手は?
「求める要件や必要な技術スキルが具体的に記載されており、自分の研究とのマッチが確認しやすかったためです。インターンシップ応募時点で、部署・ジョブの配属確約があり、配属ガチャがないという点が魅力的でした。」
Q.インターンシップに応募しなかった企業もあったと思います。それはなぜですか?
インターン内容に『LLM』『AI』程度しか書かれておらず、自分の研究とのマッチ度合が不明瞭だったためです。
このように、「AI人材」と一括りにするのではなく、具体的な技術スタックや携わるプロジェクトの詳細を開示することが、専門性を持つ学生に対する誠実なアプローチであると言えます。
4. 専門性を尊重した採用コミュニケーション事例
最後に、学生一人ひとりの専門性に寄り添い、相互理解を深めることで採用課題を解決した企業の事例を3つご紹介します。
事例①:現場エンジニアとの「対話」重視(ソフトウェア開発 A社)
大手IT企業との競合に苦戦していましたが、技術者同士の対話を通じて採用力を強化した事例です。
- 課題:大手・有名企業と競合し負けてしまう。また、独自のコーディング試験(C/C++等)の難易度が高く、選考通過者が少なかった。
- 施策:現場エンジニアと話せる「カジュアル面談」や「少人数座談会」をインターンシップの手前に導入。研究内容やスキル(C/C++、Linux環境等)に合致した個別スカウトを強化した。
- 結果:スカウト承諾率が改善され、承諾数が3倍に拡大。

事例②:研究内容を「正当に評価」(放送・メディア B社)
業界イメージの壁を越え、潜在層へのアプローチに成功した事例です。
- 課題:業界イメージ先行により、ITインフラやデータ分析などのスキルを持つ層へのリーチが不足。母集団の減少と質の低下により、内定を出せる学生が足りない状況だった。
- 施策:理系学生データベースを活用し、業界への興味有無を問わず、学生の「研究内容や保有スキル」を正当に評価してアプローチ(スカウト)を実施。
- 結果: 他媒体の約5〜10倍という高いスカウト承諾率を実現。これまで接点を持てなかった層の母集団化に成功し、複数名の内定承諾へ繋がった。

事例③:「ジョブ型」への細分化(金融 C社)
募集要項の解像度を高め、学生とのミスマッチを解消した事例です。
- 課題:業界イメージとのギャップによる認知不足。「技術系総合職」という括りでは、上位校や特定スキルを持つ層の母集団形成が困難だった。
- 施策:募集要項を従来の総合職から「AIエンジニア」「データサイエンティスト」などの「ジョブ型」に細分化し、業務内容を具体化。学生の興味関心データに基づいたスカウト送信を徹底した。
- 結果:自社に関心のある層へのスカウト承諾率は73.8%に到達。理系内定者数12名と過去最多ペースで推移。

まとめ:学生への敬意が、良質なマッチングを生む
情報系学生の採用において、競争倍率の高さやスケジュールの早期化といった環境要因は無視できません。しかし、データが示しているのは、学生たちが「自分の学んできたことを活かし、貢献できる場所」を真摯に探しているという事実です。
学生の専門性に敬意を払い、「あなたのこの技術は、弊社のこの課題解決にこのように活かせます」と具体的に提案することが、結果として学生の心を動かし、企業にとっても長期的に活躍してくれる人材との出会いにつながると考えられます。
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